愛着形成について
愛着形成について前回少し触れました。
安心できる存在、安全基地と思える存在が愛着です。
産まれた時からそばにいて、愛情を持って色々とお世話する、例えばお腹が空いたらミルク、オムツが汚れたら交換する、眠い時はだっこするなどしていたら、自然に形成されます。
ボウルビィの実験で、赤ちゃん猿の近くにミルクのついた針金人形と、ミルクなしのふかふかの人形のふたつを置いておいたら、赤ちゃん猿の行動を観察したものがあります。
赤ちゃん猿はどちらに行くと思いますか?
赤ちゃん猿は、ふかふかの方に行き、お腹が空いたらミルクのある方へ、そして飲み終わったらまたふかふかの方に戻るそうです。
お腹を満たしてあげるのはもちろん大事なのですが、生命を維持するための最低限の行為ということです。
それよりも温もりをより求めるということが証明されています。
人間もやはり同じでたくさん触れることが大切ということが言えます。
赤ちゃんの時は、歩けないので抱っこせざるを得ません。
では、いつまでだっこしますか?
3歳まで?
5歳まで?
答えは明確にはありません。
大人が決めることではないからです。
子どもが求めるまでしてあげましょう。
年長さんくらいになるともう大きくなってきて重いんですけど、「もう大きいからやめて」なんて言わないで少しの時間でも抱っこしてあげてください。
腰が痛いなど、持病がある場合は無理は良くないので、手を繋いだり抱きしめたりしてあげましょう。ちょっと身体が触れているだけでも全然違います。
夏なんて暑いですけど大人から突き放すのは、望ましくないです。
少し話がズレましたが、安全基地が出来ることで子どもは安心していろんなことに挑戦できます。
どんな自分でも受け入れてくれる存在が居ることは精神の安定になり、頑張りに繋がり、力の発揮に繋がり、自信に繋がっていくのです。
自閉症スペクトラムのお子さんの場合は、愛着形成が上手くいかないことが多いです。
人を人と認識するのに時間がかかるからです。
やって欲しいことがあると、大人の手を持ってやって欲しいところに持っていく、クレーン現象というものがありますが、手だけを見ている(手しかないと思っている)ので、それがお母さんであろうとお父さんであろうと知らない人であろうと関係ありません。
そういった場合、母子分離は容易です。
でも、それが一生続くのか、割と早い段階で安全基地を意識できるかは、周りの働きかけ次第です。
沢山働きかけ、人を意識出来るようにすることにより人を意識し、いつも近くにいる自分を大事にしてくれる安心できる人を認識すると、母子分離がし難くなります。
それは一見困った行動に見えるかと思います。
でも、成長したからこそなのです。
私の周りにも年少のお子さんで最近母子分離で泣くようになったお子さんがいますが、人を見る目や対応の仕方に変化が起きたことが分かります。
愛着形成の大切さがよくわかります。